朝目が覚めたら、さわやかな目覚め……とは、お世辞にも言えなかった。
敢えて言うなら、また虚ろな一日が始まるのかと、絶望だけが私の傍らにあった。
昨晩、ある親友が私に教えてくれた。
愛することは、与えられることではなく、与えることなのだと。
どこかの本もそんな事を言っていたなと考え、けれどそれが同時に正しいように思う。
愛とは意図して強請るものでも、ましてや作るものでもない。
純粋に、心からそうしたいと思うからこそ、なんの違和感もなく自然と生まれるものなのだろう。
少なくとも、私に教えてくれた彼女のその姿は、電話越しからでも簡単に想像できた。
彼女は静かに教えてくれた。
「貴方が愛しているのは、あなたが愛しているという男の身体であって、その人自身ではない」
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